一世を風靡した「オンラインサロン」は今や明らかに下火となっています。市場がシュリンクしているわけではないものの、目新しいアップデートがないためメディアで目にする機会はほとんどなくなりました。
世の中の多くのオンラインサロンは、サロンオーナーのカリスマ性に依存していて、言ってしまえばファンクラブや「○○教室」の様相を呈しています。これだと中間業者を取っ払っただけで、従来の「1:n構造」は変わっていません。
これとはコンセプトの異なるオンラインサロン『FACiliTY』が2018年の夏、人知れず立ち上がっています。
多重構造のサロンが、自分が今まで意識できていなかった「学ぶべきこと」を教えてくれる
『FACiliTY』の大きな特徴の一つは、錚々たるメンバーで構成されているということです。
上場企業の代表、老舗企業の代表、スタートアップの代表、シリアルアントレプレナー、プロのミュージシャン…。それぞれが個々にオンラインサロンを運営していてもおかしくないような顔ぶれです。(※1)
実際にサロンの中には「分科会」がいくつも立ち上げられ、それぞれを得意領域とするメンバーが引っ張る構図となっています。これが『FACiliTY』というサロン名のゆえんでもあります。
コンテンツのテーマは仏教、アート、ファッション、音楽、落語、子育て、教育など、「ビジネススキルを磨こう」というマインドでいたら目につかないようなものばかり。
「アート思考」がここ数年のバズワードになっていますが、その源泉のようなものがこのサロンには確かにあって、そのことが数々の経営者やクリエイターを惹きつけている側面があります。
スタートアップCEOの端くれである筆者も1メンバーとして初期から参加していますが(※2)、大きな収穫の一つは「自分の手薄になっている領域に気づけたこと」だと思っています。自分が学ぶべき対象を自分の視覚の外側から自力で引っ張ってくることは困難です。
多様なメンバーそれぞれの一家言に恵まれた環境は、まさに17-18世紀フランスの文化を支えたサロンを彷彿とさせます。
マーケティングスペシャリスト・クリエイターの「ナカヤマン。」が旗を振る
サロンのオーナーは5cream1ouder Inc. CEOのナカヤマン。さん。
ルイ・ヴィトン、グッチ、ディオールなどのラグジュアリーブランドから、ファーストリテイリングといったマスブランドまで、幅広いパートナーのマーケティングを手がけてきました。
マーケターと言ったら他社の成功事例を引っ張ってきて継ぎ接ぎして企画を組み立てるような「なんちゃってマーケター」が世の中の大半を占めますが、ナカヤマン。さんのすごさを端的に表現すると、そのネタ元にされている「最初の成功事例」をいくつもローンチしてきたところにあります。名だたるグローバルブランドからバイネームの依頼が絶えないわけです。
ナカヤマン。さんがどのようにこのオンラインサロンをデザインしていくのかというところも1つの見どころと言えるでしょう。(※3)
なお、サロンが立ち上がって一年近くになりますが宣伝らしい宣伝も打たないまま、濃いコミュニティ醸成が続けられています。通常であれば利を急ぎたくなるところ、収益をモチベーションとしてないところもこのサロンの特徴の1つ。モチベーションが違っていればアウトプットが異なるのも道理です。(※4)
“上下関係のないクローズドなコミュニティ” は楽しい
Facebook上では小学校の頃の友達から現在の同僚、取引先、家族までネットワーキングされていて、もはや「誰に対して何をポストしたら良いのか分からなくなっている」という方がほとんどではないでしょうか。
ソーシャル疲れが叫ばれて、そのカウンターとして「クローズドSNS」がスタートアップシーンを賑わわせたのは少し前の話。結局めぼしいプロダクトは浮かび上がらず、問題自体は解決されずに残されたままです。
オンラインサロンのクローズドなコミュニティは、この解決策になるかもしれません。
というのも「世間の目」を気にせず、役職的な上下関係も気にせず、思ったことや悩んでいることを気軽にslackにポストしたら誰かがレスポンスしてくれるという環境がそこにはできあがっているのです。何せメンバーそれぞれが一家言持っている。そのやり取りさえも1つのコンテンツとして成立して他メンバーを楽しませます。
こんなコミュニティを、著者はかつて持ち合わせていませんでした。持っていないことを意識することさえできずにいました。
この楽しさは参加してみないことにはなかなかイメージできないのではないかと思います。
ナカヤマン。のオンラインサロン『FACiliTY』
サロン自体は主に月に1回の定例会とslack上でのチャットコミュニケーションから成り立っています。
ご興味がおありの方はぜひ次回の定例会からでも足を運んでみてください。
サロンの多様性の観点から、学生さんは特に歓迎されると思います!
※1 ここでは実名を挙げることは避けました。それぞれのファンがサロンに入会してくることや、ネームバリューで入会を促すことは、サロンのポリシーに沿わないと著者は判断したためです。
※2 著者はあくまでも1人のサロン会員であって、運営サイドではありません。この記事を通して入会してくださる方がいらしたとしても、金銭的なメリットを享受することは一切ありません。つまり金銭を目的とした宣伝記事として本記事を執筆しているわけではないこと、また全文を通してサロンのオフィシャルな見解ではないことを注記しておきます。
※3 オンラインサロンがナカヤマン。さんのカリスマ性に過渡に依存していないだけで、ナカヤマン。さんのカリスマ性が抜群であることは念を押しておきます。
※4 情報発信が解禁になったような空気感を受けて今回記事にまとめてみました。
ナカヤマン。のオンラインサロン『FACiliTY』関連記事
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株式会社ニューロープ 代表取締役。
ファッションに特化した人工知能『#CBK scnnr(カブキスキャナ)』、インスタグラマーの類似アイテムを買える『#CBK』、アートメディア『ART LOVER』、メディアやブログを簡単にマンガ化できる『AI-CATCHER』などを展開。
九州大学芸術工学部で芸術と工学を学ぶ。中小企業診断士。